「令和2年度」都立高校入試200字作文 考え方と模範解答例
2020年07月25日更新
このページでは、『令和2年度』の東京都立高校入試における200字作文をあつかいます。
200字作文のポイントや書き方などは、こちらを参考ください。
出典と問題の問われ方
〇出典:福岡伸一「動的平衡3」
〇問い:国語の授業でこの文章を読んだ後「理想の組織」というテーマで自分の意見を発表することになった。このときあなたが話す言葉を具体的な体験や見聞も含めて二百字以内で書け。
〇配点:10点
作者の主張と構成のポイント
筆者は第十四段落のなかで、「【自律分散的】な【動的均衡】のサッカーにおいて、少なくとも試合の真っただ中においては、いちいち指示を出す必要のないゲームが実現するだろう。おそらくは理想の組織とはそういうものではないだろうか。」と述べている。よって、 「理想の組織」のポイントは【動的均衡】【自律分散的】である ことがわかる。
筆者の主張①:「動的平衡について」
・エントロピーとは乱雑さのことであり、この世界のすべてのものごとは、時間の経過とともにエントロピーが増大する方向に進む。(中略)この世界では、あらゆる秩序はあまねく崩れ、乱雑になっていく方向にしか進まない。(第一段落)
・もっとも果敢にエントロピー増大の法則と対峙しているのは何であろう、もっとも高度な秩序を維持している私たち生命体である。(第三段落)
・私は生命のこの営為を「動的平衡」と名付けた。(第四段落)
・動きつつ、釣り合いを取る。これが動的平衡の意味である。(第五段落)
・つまり生命は、作ることよりも、壊すことのほうをより一生懸命にやっている。(中略)つねに動的な状態を維持することによって、いつでも更新でき、可変であり、不足があれば補い、損傷があれば修復できる体制をとっている(中略)動的平衡において重要なのは構成要素そのものよりも、その関係性にある、という点だ。(第七段落)
・生命の構成要素は、絶えず更新され、動的であるがゆえに、その関係性は可変的で柔軟だ。もし何かが欠落したり、不足したりしたとしても、(中略)問題にすぐに対処できる。構成要素はどれも基本的には多機能性であり、異なる役割を果たしている。
↓
筆者は、[あらゆるものは時間の経過とともに乱雑さを増していくが、生命は秩序を維持できている。それを動的平衡(=釣り合いが取れている様子)とし、その理由として 細胞などの構成要素は多機能性があり、柔軟に関係を変えながら役割を果たしている点を挙げている。
筆者の主張②:「自律分散型について」
・さらに大切なことは、生命の動的均衡は自律分散型である、ということだ。(中略)補完的な関係性(相補性)さえ保たれていれば、ピース自体が交換されても、ジグソーパズルは全体としてゆるく連携しあっており、絵柄は変わらない(第十段落)
・ピース自体は更新されつつ、組織もその都度、微調整され、新たな平衡を求めて、刷新されていく。(第十一段落)
・個々のピースは、(中略)ローカルで、自律分散型で、しかも役割が可変的であること。これが生命体の強みである。(中略)情報に対してどのように動くかはローカルな個々の細胞や臓器の自立性に委ねられる。(第十二段落)
↓
生命体の強みは動的均衡だけではなく どのように動くかが、相補性と可変性をもった各細胞の自律性に委ねられている点 だと筆者は述べている。
まとめ
筆者の主張①②を踏まえたうえで、自分が属している(いた)組織の具体例を挙げて200字にまとめましょう。
模範解答例
採点基準
にも書きましたが、以下に採点基準を付けておきます。〇付けの基準にしてください。
<採点項目>
・自分の意見、主張がある。(+4点)
・筆者の主張を踏まえている。(+3点)
・具体的な体験や見聞がある。(+3点)
<減点項目>
・本文の抜き出しや要約になっている。(-10点)
・論旨に一貫性がない。(-2点)
・句読点の誤り、誤字、脱字、衍字(語句の中に間違って入った不要の字)が1つある。(-1点)
・句読点の誤り、誤字、脱字、衍字が2つ以上ある。(-2点)
・最後の一文が途中で終わっている。(-1点)
・101字以上150字以内である。(-2点)
・100字以内または201字以上である。(-10点)
・不適切な箇所が1つある。(-1点)
・不適切な箇所が2つ以上ある。(-2点)