Vol.007 中学校によって内申点に有利不利はあるのか?
2024年08月20日更新
2学期の仮内申が告知され、中学校3年生達からはこんな声が聞こえてきます。
- 「期末テスト89点も取ったのに内申上がらなかった!」
- 「実技科目の点数がどれも70点未満だったのに、内申が4に上がった!」
- 「あの先生はどれだけ良い点を取っても5はつけてくれない・・・」
「都立受験コース」では他校の生徒とも仲良くなりますから、必然的に他校の内申事情を知ってしまうことも多いようです。
そうすると、中学校によって事情が違うということが見えてきます。
さて、「中学校によって内申点に有利不利はあるのか」ですが、結論から言うとあります。
久我山近辺の中学校で比較してみます。
例えば、杉並区西宮中学校、世田谷区烏山中学校、三鷹市三鷹第三中学校の場合で言えば、烏山中→三鷹第三中→西宮中の順に内申点が取りにくいようです。
生徒達の定期試験の内容と点数は全て把握していますし、授業態度や提出物の状況も通塾態度からおおよその検討はつきます。そんな塾の立場から見ると、差はやはり感じます。
絶対評価なのにこれでいいのか?不公平ではないのか?というご指摘は、全くその通りです。
たしかに不公平です。
しかし、内申の有利不利は学年によっても違いはありますし、担当する先生によっても違いはあります。人が最終的に決めることなので、完全に公正な評価を行うということ自体がかなり難しい。そのためこういった違いが生まれてしまうのは仕方ないことです。
もし仮に、教師による主観的な裁量余地を成績評価から外してしまえば、どうなるか?
各学校で共通の定期試験問題を使用すると、どうなるか?
おそらく、模擬試験の偏差値のようなものになってしまうでしょう。
「どのくらい努力してどのくらい点数が伸びるか」には個人差がありますから、これはこれで不公正な評価と言えなくもありません。70点を取るために、10時間の努力をした生徒も1時間の努力しかしなかった生徒も成績は70です。
教師の質が良いという条件下でなら、教師による主観的な評価に私は大賛成です。
中学校による内申点の有利不利があるという前提で、さらに考えてみます。
そもそも内申点を取りやすい学校の方が通学するのに良いのでしょうか?
たしかに3年生のこの時期だけ切り取ってみれば、そういう中学校に通っていた方が「ラッキー!」という感じはします。しかし、定期試験が難しくて内申点を取りにくい中学校の方が、生徒の平均的な学力は高かったりします。そのような中学校にいた方が、結果的に偏差値は伸びるかもしれませんよね。
教育環境で考えると、こちらの学校の方が良いような気もします。
「3年生の内申点はどちらの中学校の方が取りやすいか?」
このような小さな視点に捉われると、全体を見失います。
多少の差はありますが、しょせん誤差の範囲です。
前提条件は変えられないのですから、こんな小さなことにこだわるのではなく、いまの条件を上手く活かして受験校に合格することを考えていただくのが一番です。
東京都は本当にたくさんの高校がありますし、よく探せば自分に合った入試の仕方は必ず見つかります。学校や塾の先生とよく相談しながら、戦略的に受験のことを考えてみてください。
■2024/8/20付記
2021年に学習指導要領の大幅な改定があり、内申点の評価基準が変わりました。
それに伴い、通学先中学校による内申点の有利不利の問題は緩和されたように思います。
しかし、教師の主観が入りこむ余地はまだ残っているため、多少の(気にしなくて良いレベルの)差はあるのが現状です。