Vol.115 勉強量、勉強時間、どちらを目標にすべき?
2020年07月14日更新
手当たり次第に勉強するのではなく、目標を決めて取り組んだ方が質の高い学習になります。
この目標には「勉強量」と「勉強時間」の2つがあります。
「何ページまで勉強したら、勉強終わり」とする場合と、「何時まで勉強したら、勉強終わり」とするパターンですね。
これはどちらが適切かと思われますか?
最終的な理想形は、「量」と「時間」の両方の目標を決めることです。
「22:50までに、P24~P26を終わらせる」のような目標の立て方です。
ただ、これはレベルが高いので、まずはどちらかから取り組む場合が多くなります。
それぞれのメリット/デメリットを比較検討してみます。
「試験の点数を伸ばす」という目的で勉強しているなら、目標は「量」であるべきです。
しかし、勉強力の低い生徒にはこれがなかなか難しい。
自分がどの程度の時間でこれだけの分量を終えられるという見積りができないので、勉強時間が異常に長くなってしまったり、短くなってしまったり・・。
短くなる場合はまだ良いのですが、長い場合は耐えられなくなって途中で投げ出してしまいます。
それに対し、「22時まで」のように「時間」で決める方法は勉強力が低い生徒にとっては取り組みやすいアプローチです。
特に受験が初めての生徒はこちらの方が向いています。
なぜなら、受験勉強はやらなければならないことがとても多いから。
その日の勉強目標を「量」で決めようとすると、どの程度の目標が適切なのかわからなくなるのです。
目標を立ててもうまくいかないので、目標を立てなくなります。
手当たり次第に勉強するようになります。
次第に毎日の勉強から達成感が失われていきます。
まるで終わりのないマラソンです。
目的意識が弱い生徒にとっては苦行以外の何物でもありません。
どちらも、勉強の「質」が犠牲になるリスクはあります。
「量」の場合は、課題を終わらせることだけが目的となってしまい、雑な勉強になってしまうリスクがあり、「時間」の場合はただそこに座っているだけの勉強になってしまうリスクがあります。
学習支援者はどのように子どもを手助けしていくべきでしょうか。
計算練習や漢字練習のように複雑でない勉強をしている場合は「時間」管理の方がカンタンです。
しかし、学習の様子を近くで観察しておく必要があるのでそういう意味での負担は大きくなります。
このように、それぞれ一長一短があるのですが、ざっくりまとめると
■目標「量」で決めるアプローチが向いている場合
・受験までの期間的余裕がある
・「提出物」に取り組んでいるとき
・本人の(勉強に対する)目的意識が明確
・生徒のノートから課題発見ができるレベルの学習支援者(教師)がいる
・課題が(本人にとって)適切な学習量にきちんと分けて出されている
・個別指導体制
■目標「時間」で決めるアプローチが向いている場合
・受験までの期間的余裕がない
・「提出物」以外の勉強に取り組んでいるとき
・本人の(勉強に対する)目的意識が曖昧、もしくは弱い
・長時間近くにいてくれる学習支援者(親や教師)がいる
・集団指導体制
このようになります。
すべての条件を満たす必要はなく、あくまでも考え方の方針となります。
繰り返しとなりますが、最終的に目指すべきは、
「22:50までに、P24~P26を終わらせる」
のように、「量」と「時間」の両方に目標を立てることです。
ただ、そのステージにいたる前段階として、上記のような考え方を参考にされてみてください。