Vol.151 朝令暮改

Vol.151 朝令暮改



2020年04月28日投稿
2020年04月28日更新



仕事というよりも個人的な活動として、大学生の就活指導に関わっています。
ある学生との面談でのお話です。
その学生は現時点での第一志望の会社から強めのオファーをもらっていて、本人もその会社に気持ちが傾きかけていました。
いったん内定承諾を行う、といったようなところまで、私との面談ではお話が進みました。
しかし、その翌週に再び面談を行うと今度は「いったん白紙に戻して考えたい」と言い始めました。
ブレてしまっているようですが、私はこの反応は正解だと考えています。

「朝礼暮改」という言葉があります。
「朝に命令を出して夕方それを変えること」の意で、悪い場面で使われることが多い言葉です。
しかし、「朝令暮改」は必ずしも悪いことではありません。
何かを決めるときに必要になるのが「情報」。
しかし、何かを決めなければならないときに意思決定に関する必要充分な情報が手元にそろっていることなど、人生ではほとんどありません。
少し古いですが、2002年に日経新聞「私の履歴書」で元IBM会長のルイス・ガースナー氏がハーバードビジネススクールについて語った表現が秀逸なので引用させていただきます。

「ここで学ぶ最も重要なことは、状況がはっきりしないまま、限られた時間と情報の中で、いかに事態を分析し、判断を下すかということだ。」

高度な意思決定というのは、このように必要充分な情報やそれについての調査をするための時間がないため、難しいのです。

新しい情報が手元に入ることで、意思決定の結果が180度変わることも当然起こります。
例えば、先程の就活の例で言えば、その会社でパワハラセクハラが横行しているような事実があらたに発覚したような場合、即座に内定を辞退する方が賢明でしょう(もちろん、例え話です)。
つまり、就活中の彼にとって、自分の中の正解がどんどん変わるのはそれだけ動いた証拠。
そのように脳内の情報の書き換えが起こるのはむしろ良いことです。
決めたことをひっくり返すのは勇気がいるが、情報集めを行ったことで前提条件が変わっているのに当初の考えに固執する方が大間違い。
もっとたくさん行動して、どんどん情報を集めること。
行動し続けると、脳内の情報の更新頻度が少しずつ減り、次第に判断のブレがなくなってくる。
そのときが意思決定の適切なタイミングだということを伝えました。


【情報と行動量(時間)】

新規獲得情報は逓減(次第に減る)するの図

教育関係者の現状も就活中の彼と同じです。
緊急事態宣言下での行動経験値は、誰もがゼロからのスタートですから、いまは毎日のように情報更新が行われているような状態です。
こういった中では先週の正解が今日の不正解になるようなことも当然起こりえます。
GW連休が明けたら開校か、オンライン継続か。
こういったことに関しても、引き続き情勢を見極めながら判断していきたいと思います。
ちなみにですが、4/28(火)の時点で、開校する予定はありません。


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