Vol.196 試験の点数を忘れる生徒

Vol.196 試験の点数を忘れる生徒



2021年03月09日投稿
2021年03月09日更新



定期試験の点数を聞くと、「忘れた」と回答する生徒がいます。
前回の試験終了から一か月以上経過しているのであればともかく、試験結果が一週間以内に返却されているような場合であれば、これは良くない傾向です。
このままでは成績も伸びない可能性が高いです。
2つの可能性が考えられます。

ひとつは、定期試験の点数を本当に思い出せないケース。
おおよその点数までは覚えているけれど・・という生徒が大半ですが、正確な点数を思い出せないのは試験への関心が薄い証拠であり、要注意と言えます。
改善の手段はいくつかありますが、即効性があるのは重点科目を決めることでしょう。
あちこちに分散してしまっている勉強への興味関心を、どこかに集中するのです。
その場合における鉄則は、本人の不得意科目や嫌いな科目を選ばないということです。
結果を出せるようになると、その他の科目への興味関心も自然と育ってきます。

もうひとつは、本当は覚えているけど「忘れた」と回答するケースです。
他人に知られるのが恥ずかしい、思い出すのも嫌だ、叱られるのが怖い・・
理由は様々ですが、現実直視から逃げている点は共通しています。
こうなってしまう最大の原因は「失敗や間違いをダメなもの」だと思っていることです。
自分の価値と試験の点数を分けて考えることが出来ず、「点数の低い自分=ダメで価値のない自分」といったように、自己評価の物差しが固定化されてしまっていることも問題です。
すべての学びは正しい自己理解から始まると言っても過言ではなく、現実直視が出来ない生徒の成績が安定することはいつまで経ってもありません。
このようなことが起きてしまっている場合、大切なことは試験の点数に対して大げさな反応をしないことです。悪かった場合はもちろん、良かった場合においても、です。
まずは感情的にならず冷静な気持ちで、現状と向き合えるようになること。
それが出来れば、あとは一つ一つ改善していくだけなのですから。

本当に思い出せないケースと、本当は覚えているけど・・というケースだと、親や教師の対応方針は真逆になることが多いです。性格的傾向から言えば、前者は鈍感すぎることが問題であり、後者は敏感すぎることが問題です。同じ「忘れた」という言葉でも、前者には緊張感を与えた方がよく、後者には安心感を持たせた方がいいです。
緊張感と安心感がほどよく混在している状態、が理想です。
まわりの成長支援者は、本人に足りていない側を補ってあげる必要があるのですが、親子は性格的傾向が似ていることも多く、片側に偏ってしまうことが多いので気をつけてください。


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