Vol.217 とんでもない塾があるらしい
2021年08月10日更新
ある塾生がお母様に、「塾で学校の定期試験の過去問をもらっている友達がいる。(私も欲しい)」
と訴えていたそうです。中学生がそう思うのは仕方ないことなのですが、これは明らかに法律(著作権法)違反です。とんでもない塾もあるものです。
こうした行為を子どもたちに堂々と行えてしまうのは教育者としていかがなものなのでしょう。
スポーツでも何でもそうですが、ギリギリセーフのラインを見極めて要領良く立ち回ることは人生において大切な考え方だとは思います。
しかし、これはアウトです。
その塾に通っていない生徒が相対的に不利益を被る可能性もある事案なので、どこの塾か判明したら、中学校あるいは東京都教育委員会に念のため報告させていただきます。
塾がそれをやるのは問題ありますが、生徒本人が同じ学校の先輩の伝手を頼ったりして、自力で定期試験の過去問を入手することは法律違反にはならないです。
そこまでの熱意と行動力があるのなら、やってみることを止めはしないです。
自分の知恵と工夫で困難を乗り越えた経験に意味はありますから。
ただし、先に言っておきます。
その努力はごくまれに報われることもあるとは思いますが、ほとんどの場合において、かけた労力ほどの見返りは得られません。
定期試験の点数を伸ばすための勉強に時間をかけた場合は、たとえ点数が悪くても「試験勉強による学力向上」や「良質な反省機会」という見返りが見込めます。
その一方、定期試験過去問を入手するために奔走して、その過去問がまったく役に立たなかった場合の見返りはほとんど何もないです。
それだけの時間があるなら、目の前の試験勉強をがんばった方がいいです。
おそらく、どの学校や塾の先生に聞いてもまったく同じことを言うと思います。
では、お父さんお母さんが伝手を頼りに、定期試験過去問入手に奔走されることは?
これはまったくのムダというか、子どものためになっているようで、子どものためにまったくなっていない行為なので、ぜひとも止めてあげてください。法律違反にはなりませんが。
プラスジムでは、定期試験過去問を生徒に見せたり配布したりといったことは行っていませんが、どんな問題が出題されているかの確認は行っています。
そうすると面白いことがわかります。
どこの中学校の先生とは申しませんが、たまにズボラな先生がいらっしゃって、その先生が再び同じ単元のテスト作問者になると、まったく同じ問題が出てくることがあるのです。
(先ほど、「ごくまれに報われることもある」と書いたのはこのケースです)
お父さんお母さんが、どこかからこうした定期試験過去問をたまたま入手された場合、それを使うことで、定期試験で子どもが実力以上の点数を取ることができるかもしれません。
しかし、こんなことが起きるなら、私は悪い点数の方が何倍もましだと考えています。
なぜなら、悪い点数が本当の自分の実力なのであれば1日も早くそれと向き合うべきだからです。
そのようにして、自己理解を深めた先にしか本物の成長はありません。
人生における最大の損失の一つは「良質な反省機会」を奪われることだと私は考えているのですが、それを親がやってしまっては元も子もないです。