
Vol.221 内申が足りないと言うけれど
2021年09月07日更新
何事も上手くやろうと思ったら、その世界を支配する「ルール」を正しく理解することからです。
ゲームに例えるなら、どうなることが「勝ち」でどうなることが「負け」なのか。
それがわからないことにはどうすべきかの方針も立ちません。
入試に関しても、「ルール」はあります。
生徒たちを見ていて思うのは、まずはそれをきちんと理解してもらいたいということです。
例えばこの時期、都立高校志望の葵ちゃん(仮名)から出てきた悩み。
「(都立の志望校に対して)内申※が足りていなくて心配。」
※12月に判明する通知表結果
都立入試の「ルール」を正しく理解できていない生徒から出てくる典型的な発言です。
都立高校の合否は内申で決まるわけではありません。
全合格者の約8割を占める「一般入試」においては、合否を決める総合得点は「①学力検査点(5科の試験)」と「②調査書点(内申点)」で構成されており、大半の高校において①が700点、②が300点という1000点満点構成になっています。ちなみに、①の学力検査点が何点になるかというのは当日までわからないので、模試の偏差値で予想点を算出します。
この「ルール」を理解できていれば、「内申が足りていない」という発言が出てくるはずはないのですが、なぜかこうした生徒たちは「〇〇高校に合格するためには、通知表に4が3つ以上は必要」といったような基準を持っており、それと自分の内申を照らし合わせて不安を募らせています。
逆に考えてみましょう。
その基準を満たせばそれで合格できるのでしょうか?
繰り返しますが、都立一般入試は「①学力検査点」が700点、「②調査書点」が300点です。
当日の試験がふるわなければ不合格になるのは、誰にでもわかることですよね。
このくらいの内申であるべきというのは、あくまでも「目安」の基準であって、必ず満たさなければならない条件ではありません(一部の難関校を除いて)。
つまり、葵ちゃんは次のA~Cのいずれかのように言うべきなのです。
A:「偏差値がこのくらいだから、内申はあと〇伸ばしたい。」
B:「内申がこのくらいだから、偏差値を〇まで伸ばしたい。」
C:「偏差値は〇まで、内申は〇まで伸ばしたい。」
都立一般入試の合否が決まる総合得点の算出「ルール」が、両方の合算値なのですから、片側だけで考えるのは不適切。
どちらか一方の成績だけをみて、「足りていない」とは言えないということです。