Vol.267 問題の深刻度
2022年07月26日更新
東京で生活するようになって、しばらく経ってから、肌荒れに悩まされるようになりました。
皮膚科に行くと、「乾燥ですね」のひと言で終わり。
診察たるや1分にも満たないようなものなのです。
全然きちんと診てくれないことを不審に思い、別の皮膚科をいくつか受診してみましたが、まったく同じ対応をされ、「今までこんな風になったことがないのに、そんなはずはない!」と1人で憤慨していました(結果、原因は乾燥でした笑)。
その一方、今年4月に円形脱毛になったときのことです。
たいして深刻には考えていなかったので、乾燥肌用の塗り薬をもらいにいくときに「そういえば、、」といった感じで軽く相談してみると、先生の顔が急に真剣な表情に変わり、あれやこれやと尋ねられた上、血液検査まですることになりました(結果、特に問題なしでした)。
この小話で何をお伝えしたいのかというと、経験豊富な人に相談することの大切さです。
皮膚科の先生にわかって、私にわからないこと。
それは症状の深刻さです。
この症状がどの程度の頻度で発生するもので、それがどういった経過となることが多いのか。
そのために最も有効な処方箋は何で、どの程度の効果が期待できるのか。
危険な病気の兆候は出ていないか。どうやってそれを検査するか。
塾も同じです。
「学力」という極めて個人的な情報を大量に保有し、その情報を基にした判断やアドバイスができるのは学校や塾の先生だけです。
家庭教師の問題点は、この視点をまったく持っていない素人が混ざっていることです。
そういう人が指導をまかされるとどうなるかというと、勉強を教えるだけの授業になります。
皮膚科で例えるなら、病状に関係なく「保湿剤」だけを提供するようなものです。
最初から最後まで、深刻な症状が出ることがなく進むのなら、それでも良いのかもしれません。
しかし、思春期の子どもたちの学習状況というのは、常に一定ではなく、大丈夫と思っていた生徒が急に深刻な症状に陥ったりすることがあります。
成績を伸ばすために大きな負荷をかけたような場合は特にそうで、1週間2週間といった短期間に起きた悪いサインを見逃したせいで、その後何年も悪い影響が残ることもあります。
素人目には良くなさそうに見える症状も、ほとんどは、よくあることで、経過観察で充分なものばかりです。
ただ、稀に「これは慎重に対応しなければならない」という問題も出てきます。
受験期間を1年間とすると、そうしたことが1度くらいはどの生徒にもあります。
その深刻な症状を見逃さないこと。
それに対して、すぐに適切な手を打てること。
塾長である私自身の役割ということで言うと、そうしたところにあると考えています。