Vol.119 自分にとっての勝利
2020年07月14日更新
中国最古の兵法書『孫子』に、「彼を知り己を知れば百戦あやうからず(知彼知己 百戰不殆)」という有名な言葉があります。
「相手と自分のことをよく知るなら、何度戦っても相手に負けることはないだろう」といった意味の言葉で、誰もが一度は耳にしたことのある言葉なのではないかと思います。
この言葉を「受験」に当てはめて考えるとどうなると思いますか?
少し考えてみてください。
「彼」とは、( ① )のことである。
「己」とは、( 自分 )のことである。
「勝つ」とは、( ② )することである。
いかがでしょうか?
典型的な回答は以下のようなものかと思います。
①志望校 ②合格
しかし、「受験」においてこの回答は不正解です。
その「彼」が「己」にとって戦うべき相手なのか?という重要な「問い」が抜けているからです。
例えば、偏差値40の高校3年生が12月に東大を志望していたとして「彼を知り」「己を知る」ことによって「百戦あやうからず」となるでしょうか?
・・・ならないですね。
誰と戦うか?つまり、「どこを志望校とすべきか?」から考えなければ受験で常勝はできません。
(常勝の是非はさておき)
そう考えると、①には具体的な学校名ではなく、「様々な学校の受験情報」が入ることになります。
ここまでを整理してまとめると、以下のようになります。
「様々な学校の受験情報を良く調べ、自分の正確な実力を知っていれば、合格できる。」
それっぽくなりました。
こういうことを言う塾の先生、いそうです(笑)
しかし、「合格」だけを目的とする受験で果たして良いのでしょうか?
当然のことながらダメです。その場合、挑戦する学校のレベルを下げられるだけ下げることが勝率を高めるための最善の戦略となってしまうからです。
つまり、「彼を知り己を知れば」だけでなく、そもそも自分にとって「勝つ」とはどういうことなのかが決まっていないと受験や人生で「百戦あやうからず」とはなりません。
先の質問の、
「勝つ」とは、( ② )することである。
②の部分を「目的」と言いますが、先にここをきちんと決めましょうということです。
この空欄を埋めるためには、「どんな自分になりたいか?」、あるいは「どんな自分であるべきか?」が決まっている必要があります。
ただ、これを決めるのは中学生や高校生にとっては難題中の難題です。
大人でもはっきり答えられる人は少ないと思います。
プラスジムの場合、中学生に対しては塾がこの方針を示しています。高校生に対しては自分で考えられるようにキャリアサポート室という部署がその手助けを行っています。
参考記事:Vol.105 高学歴という幻想
正解のわかりにくい世の中ですから、明確な「目的」を持って勉強している人間は本当に少ない。
しかし、だからこそ、チャンスだとも思います。
自分にとっての勝利とは?
これは、価値観の多様化した時代を豊かに生きるうえで外せない「問い」だと考えています。