Vol.173 成功基準と経験

Vol.173 成功基準と経験



2020年09月29日投稿
2020年09月29日更新



成長(※)のために必要なのは「経験」を積むことです。
しかし、気をつけなければならないのは、長い時間それを行ったからといって、あるいは何度もそれを行っているからと言って、成長しているとは限らないということです。
むしろ、悪い癖がついてしまい、マイナス成長していることだってありえます。
もっともわかりやすい身近な事例は、歯磨きです。
誰でも毎日欠かさずに歯磨きを行いますが、その技術は日々上達していると言えるでしょうか?
成長(技術向上)していないのであれば、それは教育的な意味での「経験」とは言えません。

成長につながる「経験」を積むために大切なこと、それは成功基準があることです。
なにをもって上手くいっていると言えて、また逆にそうでないと言えるのか、事前にはっきりとさせておくことがとても大切です。
成功イメージと言いかえても構わないと思います。
そうした成功基準があって初めて、成長につながる「経験」を積むことができるようになります。
なぜなら、成功基準がなければ「問題(あるべき姿と現状の差)」は存在せず、「問題」のないところに「解(自分はなにをすべきか)」もありません。
この「解(自分はなにをすべきか)」を積み上げていくことこそ、成長につながる「経験」だからです。

プラスジムでは受験生に模試の「振り返り」をさせています。
そこで的を射た「振り返り」ができた生徒は、次の模試で今より高得点を狙える可能性が高い。
なぜなら、自分の問題を正確に把握できているからです。
自分の問題を把握していること(問題発見)と、そのために何をすれば良いかまでわかること(解決策の発見)、そしてそれを継続できること(自己管理)は、それぞれまた別のことですが、問題発見がきちんと出来ているなら、次の模試での成功は半分見えたようなものです。
解決策は塾で考えることができますし、自己管理のサポートも可能です。
しかし、問題発見のレベルが低い生徒の成績を伸ばすのは難しいのです。
なぜか。
経験豊富な塾講師であれば、生徒をみれば何が問題になっているのかはすぐにわかります。
「あなたの数学はこれこれが問題です。点数を伸ばすためにこれこれをやりましょうね。」
こんなアドバイスは朝飯前と言っていいでしょう。
しかし、こう伝えるだけではあまり効果はありません。
なぜなら、大半の生徒は自分でそれを問題だと思ってはいないからです。
それが自分で問題だと思うから、人は本気でがんばれるのです。

問題が自分事としてしっかりと腹落ちしていること。
その前段階として、「自分はこうありたい」という成功基準を持っていること。
例えば、模試。
受験生として最低限持っておくべき成功基準は目標点数や目標偏差値でしょう。
伸びていく生徒は、「計算ミスをゼロにする」「文法問題は一問も落とさない」「長文問題は20分以内で解く」のように、さらに具体的な自分なりの成功基準を持っています。
目標点数もないのであれば、模試を受験する意味もないと考えます。

※「成長とはなにか?」に関しては以下の記事をお読みください。
Vol.113 人が成長するとはどういうことですか?


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