Vol.210 自立学習
2021年06月22日更新
勉強の達成度は「わかる」と「できる」の2段階に分けることができます。
試験で得点するためには、その単元を「できる」状態になっておく必要があります。
<勉強の達成度>
集団指導や個別指導の問題点は、「わかる」ようになるための働きかけが中心であり、「できる」ようになるためのケアが不充分なことです。
要するに、「解き方」を使いこなせるようになるための勉強に関してはほぼ本人まかせ。
この本人まかせになっている部分の勉強の量や質に相当な個人差があるため、同じ授業を受けているにも関わらず、生徒の試験の点数はバラバラになります。
プラスジムでは「勉強力」と言っていますが、「勉強力」が弱いために「解き方」を習うだけの授業では試験の点数を伸ばすことのできない生徒を数多く目にしてきました。
そこで取り入れたのが「自立学習」です。
生徒は「自習に行く」と言って教室に来ることが多いのですが、「自立学習」は自習とは違います。
自習は自分で行うものです。教師による指導を前提としていません。
先生に自由に質問できる自習時間、のように認識されている方もいるのですが、それも違います。
「解き方」の習得は授業で行うべきことです。いったん理解した解き方を忘れてしまっているだけなのであれば、自分で『解答と解説』を確認すればたいていのことは思い出せます。講師が「生徒が自分で正解にたどり着ける」と判断すれば、解き方をあえて教えないこともあります。
では「自立学習」のメリットはなにか。
「自立学習」の優れている点は、生徒の根本的な学習課題を把握できることと、そこに直接的な働きかけができるようになることです。
特に、改善に時間のかかる学習課題の解決に向いています。
例えば、プラスジムでは「〇〇(生徒名)は勉強体力がない」といった言葉が頻繁に飛び交いますが、実はこれは「自立学習」でなければ見えにくい学習課題です。自習だと、勉強体力のない生徒はすぐに帰ってしまうからです。こうした生徒には「今日は18時から20時までがんばれた。明日は17時30分からがんばってみよう。」のように、少しずつ勉強時間を伸ばしていく提案をします。
「やらなければ」という気持ちだけでそこに座っており、実際はほとんど勉強できていない生徒の多さにも驚かされます。もっとも典型的なのは、教科書や問題集をただ眺めているだけの生徒。「自立学習」を始めたばかりの中学生の半数近くに見られる現象です。常時ではなく、集中力が切れ始めたタイミングでこの症状が出ます。親から「勉強しなさい」と言われないためであったり、自分の不安解消のためであったり、点数を伸ばすという目的ではないところに意識があると、こうした形式的な勉強に陥ります。
形式的な勉強は本人が(場合によってはまわりも)やった気持ちになる分、タチが悪い。
勉強嫌いの要因になりますので、早急に改善する必要がありますが、こうしたこともやはり授業だけではなかなか発見の難しい学習課題です。
教室で長時間勉強させるからこそ、自分の部屋で勉強しているときと同じような悪い症状が現れ、問題の指摘→改善のサイクルがまわり始めるのです。