Vol.212 親の忍耐力

Vol.212 親の忍耐力



2021年07月06日投稿
2021年07月06日更新



ここに2つの事実があります。

①成績は伸びる時期もあれば、停滞する時期もある
②伸びている生徒もいれば、伸びていない生徒もいる

これらはそれぞれ独立した事象として発生しているわけではありません。
構造としては、①が②の原因になっています。
多くの場合において、人の成長は正比例のグラフのように直線的になされるわけではなく、停滞と急成長を繰り返す階段型のグラフになります。

Vol.094 応用問題が解けるようになるまでに

重要な前提条件がもう一つあります。
それは急成長のタイミングは生徒それぞれだということ。
そのため、同じ期間を「他人との比較」というヨコの切り口で見てみると、すごく伸びている生徒と停滞している生徒が存在することになります。

受験生の親として最も重要な資質は何か?と問われたら、私は「忍耐力」を挙げます。
思春期の関わり合いにおいてはそれが特に大切なことになります。
成績の伸びている時期ではなく、この停滞している時期に、親の真価は問われるものです。
心構えとしては、自分の不安を子どもにぶつけて解消しようとしないこと。
とにかく、これに尽きます。
そもそもなぜ子どもの成績に苛立ったり不安になったりするのかと言うと、子どもに対する期待値が高いから。例えば、「30点取れれば上出来」と思っていたら、40点の結果に何の不安も持ちませんが、「60点取れて当たり前」と思っていて、結果が40点だったら愕然としますよね。
子どもに対する期待値が高いと、結果との差が生まれやすく、不安になりやすいのです。
相手に期待しなければ気持ちは間違いなく楽になります。
だから、親として子どもに期待しないことが正しいのかというと、それは違うと私は思うのです。
子どもの将来に対する期待はうんと高く持ってあげるべきでしょう。
そうすると、どうしても現状の子どもの実力との間には差分が出来てしまいます。
だからこそ、この葛藤に打ち勝つ「忍耐力」があるかないかが最も大切になるのです。
親として特に大切にしてあげたいのは、「やったのに伸びなかった」経験です。
メンタルタフネスを鍛えることもできますし、良質な振り返りに繋げれば、その失敗は必ずや次の成功の糧になります。このプロセスをたくさん経験するということが、その子にとっての勉強であり、成長するということなのですから。


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