
Vol.223 9月、高校受験生を苦しめる3つの変化
2021年09月21日更新
先日、9月19日(日)はプラスジム高校受験生の保護者様説明会でした。
ご参加いただいた皆様にはここであらためて御礼申し上げます。
ありがとうございました。
毎年恒例の説明会であり、毎年同じように思うことがあります。
昨年もそのことについて書かせていただきました。
思春期最大の難所が高校受験であり、「都立受験コース」最大の難所が9月~11月です。
そのため、毎年この時期の説明会は重苦しい雰囲気になります。
「都立受験コース」の生徒たちは、この1年、勉強面に関しては人生最大と言っていいレベルの挑戦をすることになります。事実、夏期講習を終えると大半の生徒は「こんなにたくさん勉強をしたのは初めて」といった感想を口にします。
今年の生徒たちも、夏休みの間、本当によくがんばりました。毎日10時間、文字通り朝から晩まで勉強に明け暮れた生活を送り、前半戦最後の大勝負である8月末Vもぎに挑戦しました。
8月末までは、どの生徒も同じようなルートを辿ることになります。
しかし、9月に入ると状況が一変します。
生徒本人や周囲の環境に変化が起き、それが不安やストレスの原因になります。
変化とは次のようなものです。
第一は、志望校についての意識の変化。
夏前まではまだ自分の受験の実力(≒偏差値)がはっきりしないこともあり、「まずは伸ばせるだけ偏差値を伸ばそう」という方針でがんばっていた生徒も、8月Vもぎ結果が返却されると、いよいよ具体的に自分の進学先となる受験校を検討しなければならない時期に入ります。
この時期に生じる不安は、「子ども主体の不安」と「親主体の不安」に大別されます。
「子ども主体の不安」とは、子どもが受験校を決めかねて悩んだり、今のままの成績で合格できるかどうかを不安に思って苦しむパターン。どちらかと言うと女子生徒に多いです。
「親主体の不安」とは、もう受験校を決めていくべき時期なのにも関わらずまったく現実的でない学校の名前しか口にしなかったり、適当なレベルの受験候補校が一つも見つかっていないにも関わらず、説明会にまったく参加しようとしない子どもの様子にご両親が危機感を募らせてしまわれるパターン。どちらかと言うと男子生徒に多いです。
どちらのケースに関しても、志望校に関しての悩みは親子間だけでは解決が難しかったりもするので、塾のように相談できる環境がある方はそちらを頼られることをお勧めします。
そうした環境がない場合は子どもまかせにしていてはダメで、親がある程度までは情報収集のお手伝いをしてあげることが必要かと思います(悩んでいる場合のお話です)。
情報収集の上手さは大人と中学生では比較になりません。
第二の変化は成績です。
偏差値は伸ばすこと自体が難題であり、特に60以上もあるような場合だとそう簡単には伸びません。偏差値60の受験生は偏差値60の受験生とまったく同じだけ努力をして初めて、次の模試で偏差値60を維持できるのです。プラスジムにおいても、ここ数年、偏差値を下げた生徒は1人もいませんが、伸び幅は生徒によって個人差が出ます。
一般的には、この時期の生徒は偏差値が「伸びた生徒」、「変化のない生徒」、「下がった生徒」の3パターンに大きく区分されることになります。伸びた生徒の数だけ、どこかには偏差値が下がった生徒もいるわけです。努力したにも関わらず「変化なし」だった場合や、偏差値が下がってしまった場合にこれから先の展望について不安になるのはわかります。
思うように伸びていない場合には、まずは「原因」をきちんと把握することが大事です。その「原因」に対して必要な対策は講じられているのか、講じているとすればどこに問題があるのか。
植物だって水をやったからと言って次の日に花が咲かせるわけではありません。きちんとした働きかけができていても、時間差で結果が出ていないだけということもあります。
結果だけをみて拙速にダメと決めつけることだけはしないでいただきたいと思います。
「偏差値が伸びている場合、そんな不安はないのでは?」と思われる方も多いと思うのですが、これが意外とそうでもないのです。
その理由が、第三の変化にあります。
春から夏にかけて大きく偏差値を伸ばした生徒ほど、2学期に学校が始まると新しい環境への適応に戸惑うことになります。塾で勉強だけに集中することが出来た夏休みと異なり、学校の友人たちとの接触や休み明け間もなくの定期試験、学校によっては文化祭や修学旅行(なぜこの時期に・・)、といったイベントに振り回されることになるからです。この時期、夏に構築した学習習慣も、夏に見られた勉強に対するやる気も、色々なものが全部吹っ飛んでしまったかのような状況になる生徒も見られます。ストレスがたまると子どもたちはどうなるか・・、一例としては、ゲームばかりになったりスマホばかり触ったり。生産的とは言えないことに時間を費やして、バランスを取るようになります。
大半の生徒は、心の中ではそんな自分を「このままではダメだ」と思っています。
(親に言われると、自分の行動を正当化するために反発しますが)
夏にがんばっていた自分と比較してしまうので、どうしてもそんな自分に対して不安になってしまうのですが、これは比較時期を間違えています。
学校があった時期、つまり1学期の自分と今の自分を比較するべきなのです。
多くの場合、この手の悩みは12月を過ぎる頃には自然と解消されていきます。
なんだかんだ言いながら、夏にがんばれた生徒は、再びがんばるようになりますから、お父様お母様は、「本人も色々抱えて疲れているんだな」と温かい目で見守ってあげてください。