『理科』編◇令和2年度都立高校入試◇都立の勉強方法
2020年01月28日更新
東京都立高校入試理科の分析ページです。< (前年度版に加筆したものになります)
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1. 平均点推移と全体の構成
平均点推移
- 平成31年度 67.1点
- 平成30年度 61.5点
- 平成29年度 55.9点
- 平成28年度 50.6点
- 平成27年度 59.4点
平成30年度の平均点が前年度比+5.6点と易化したことから、平成31年度は難化すると予想しましたが、反してさらに平均点が上がりました。
平均点は67.1点となり、これは過去10年間で最も高い点数です。
都立入試は平均点が60点前後になるように意識されていると考えられるため、来年度こそは平均点は下がることでしょう。
昨年度過去問題で高得点が取れていても安心はできません。
問題構成はここ数年と傾向は変わっていません。平成31年度は地震に関する距離と語句を答える問題、化学反応式のグラフ、平均の速さを求める問題は記述式でしたが、そのほかはマーク式です。
令和二年度も傾向は変わらないと思います。よって、四択問題が22問前後、記述・グラフ・化学式などの選択肢以外が3問前後の構成になる可能性が高いです。
平成31年度の大問構成は以下の通りでした。
- 大問1 小問集合(4点×7問)(地学・生物・化学・物理)
- 大問2 レポート形式の小問集合(4点×4問)(地学・生物・化学・物理)
- 大問3 地学(地震)(4点×4問)
- 大問4 生物(植物・遺伝)(4点×3問)
- 大問5 化学(化合など)(4点×4問)
- 大問6 物理(運動とエネルギー)(4点×3問)
東京都立入試の理科の特徴として、小問集合である大問1やレポート問題である大問2を除き、実験中心かつ問題文が非常に長いことが挙げられます。問題文から適切に「要素」を読み取り、知っている知識に変換して当てはめる力が求められ、形式に慣れていないと点数は伸びません。
ただ、出てくる実験は必ずどこかでやったことがあるものになるはずです。過去問や実験結果の確認は繰り返しやっておきましょう。
2. 大問1、2 小問集合 4点×7問+4問 合計44点
大問1、2は小問集合です。
教科書の理解を見る問題で、各分野の基本的事項が頭に入っていれば難しくはないレベルです。
大問1、2が満点を取れていないようであれば、早めに一冊、基本がまとまっている教材をやってみてください。
受験レベルの問題をこなすことも必要ですが、頭の整理は定期的に行うべきです。
先に述べましたが、理科は全体的に身の回りの実験や、現象を用いた問題が多数出てきます。
例えば平成31年度では、「断水時に、海水から水をつくる方法」や「けがをした時の応急処置」などが出ました。
教科書に載っている知識を丸暗記しても点数には結びつきません。普段から自分の周りのことにも興味関心(「なぜ?」という疑問)を持っておくことをオススメします。
基本的な実験や化学反応式、公式がまずは頭の中に入っていないと、あとに続く大問3~6でも安定した点数を取ることは難しいです。
数学の大問1と同じ考えですね。まずはVもぎでも過去問題集でも、大問1、2は満点を取ることに力を入れてほしいです。
3. 大問3~大問6 4点×14問 合計56点
大問3~6は、4分野のなかから毎年均等に問題が作られています。
大問ごとの問題数は年によって変化がありますが、「地学・生物・化学・物理」からひとつずつ出てきています。
東京都立理科の問題で、時間が足りないという声はあまり聞かないですが、大問3から律儀に解いていく必要性はありません。得意な分野から確実に点を取っていくのがいいでしょう。
<過去10年の大問3、4、5、6の出題範囲一覧>
大問3 | 大問4 | 大問5 | 大問6 | |
平成22年度 | 天気 | からだのつくりとはたらき | 化学反応 | 運動とエネルギー |
平成23年度 | 地震 | 遺伝 | 気体の発生 | 回路と電流 |
平成24年度 | 天体 | 植物 | 水溶液・化学反応 | 運動とエネルギー |
平成25年度 | 天気 | からだのつくりとはたらき | 気体・イオン | 運動とエネルギー |
平成26年度 | 天体 | 植物・遺伝 | 水溶液・電気分解 | 回路と電流 |
平成27年度 | 地層 | 植物 | 化学反応・電気分解 | 運動とエネルギー |
平成28年度 | 天体 | 植物・遺伝 | 電気分解・イオン | 回路と電流 |
平成29年度 | 天気 | からだのつくりとはたらき | 気体の発生 | 運動とエネルギー |
平成30年度 | 地層 | 植物 | 電気分解・イオン | 回路と電流 |
平成31年度 | 地震 | 遺伝 | 化学反応 | 運動とエネルギー |
おおざっぱですが、過去10年間の大問3~6の出題範囲を調べてみました。
予想が付きそうな範囲では、大問3は天体の可能性が高いかもしれません。大問6は回路と電流でしょうか?
もちろん予想は当てにせず全範囲をまんべんなく勉強すべきですが、参考ください。
<都立入試の特異性>
- 大問3 <地学(地震)> [観測記録]⇒[資料]
- 大問4 <生物(植物・遺伝)> [観察1]⇒[結果1]⇒[観察2]⇒[結果2]⇒[実験]⇒[結果3]⇒[仮説]
- 大問5 <化学(化合など)> [実験1]⇒[結果1]⇒[実験2]⇒[結果2]
- 大問6 <物理(運動とエネルギー)> [実験1]⇒[結果1]⇒[実験2]⇒[結果2]
平成31年度の問題を見ると上記のように、実験や観察結果をもとにすべての大問が作られていることがわかります。さらにその実験も複数を組み合わせて比較させているので、解きほぐす力も必要です。
一見、難しそうに感じられますが、一つ一つを整理していくとそれぞれの問題は教科書レベルを大きく超えることはありません。
こういった問題形式が苦手な方は、まずは問題を解く前に情報処理能力を鍛えてください。
理科の問題に慣れるために、時間を掛けて問題文の整理を一つ一つやっていきましょう。
「AとBの実験はそれぞれどの部分を比較しているのか」「実験で言いたいことは、教科書ではどのページ・単元に書いてあるか」を考えていくと、必ず一度習った知識にたどり着きます。
東京都立入試の理科の類似問題をやる時は、問題をたくさんこなすよりも、復習・見直しに時間を多くかけてくださいね。
正答率10%程度の問題もありますが、基本的な難易度はどの問題もそう大きく違いはありませんから。