『英語』編◇令和2年度都立高校入試◇都立の勉強方法
2020年01月28日更新
東京都立高校入試の分析、英語編です。
1. 平均点推移と全体の構成
2. 大問1 リスニング 20点(5問×4点)
3. 大問2 図表を用いた問題+英作文 24点(3問×4点+12点)
4. 大問3 対話文 28点(4点×7問)
5. 大問4 説明文・物語文 28点(4点×7問)
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1. 平均点推移と全体の構成
平均点推移
- 平成31年度 54.4点
- 平成30年度 68.0点
- 平成29年度 57.8点
- 平成28年度 57.4点
- 平成27年度 63.4点
東京都立高校入試の英語です。
前回、平成30年度の平均点が高かったため平成31年度は下がると予想しましたが、想定よりもかなり平均点が下がりました。54.4点は平成26年度の53.7点に相当する低い点数です。いわゆる難問はなかったですが、全体的に得点率が低い問題であったことが原因です。
下に、平成31年度の受験者得点分布を載せていますが、30点台~80点台までバランスよく結果が分布しており、そういった意味では良問ぞろいだったと言えます。
今年度もおそらく大きな変動はないでしょう。
英語は、ほかの科目と比べて自分の力が得点にしっかり反映される科目です。英語が苦手な人は、テクニックを探すのではなくとにかく単語や熟語、長文に触れる機会を増やしてください。
英語の特徴はリスニングが最初に20点分出てくることです。音声が流れる時間は年度によってもまちまちですが、平均すると約10分です。最初の問題が始まる前の確認部分を省いても9分程度はリスニングに費やす必要があります。ちなみにリスニングはテストが始まるとすぐに流れ出すところが多いようです。
40分程度で大問を3つ読み進める必要があり、スピードとテンポよく解き進めていく力が求められます。
目安としては、大問2が10分、大問3、大問4が15分ずつ程度でしょうか?
特に大問3および4は文章も長く、最後まで解ききらないまま終わるケースを毎年見ています。
平成29年度からの変更はありません。解答用紙も全く同じ形式でした。平成29年度からは英作文に少し変更がでました。詳細は読み進めてください。
2. 大問1 リスニング 20点(5問×4点)
リスニングは問題Aと問題Bの2つパートに分かれており、内容に適するもの選ぶ問題が毎年5問(選択4問+記述1問)出てきました。今年もその傾向は変わらないでしょう。
問題Aは登場人物2人の会話文が3題読まれ、それぞれの内容に合った質問に1問ずつ答えます。文章が短めなことと対話文と質問はそれぞれ2回繰り返されることから、毎年正答率は高いです。
問題Bは1人の人物が話す内容を聞き取る問題です。問題は2問出題され、1問は記述形式で答えます。こちらも対話文と質問はそれぞれ2回繰り返されます。
ところで、みなさんは入試に向けて何かリスニングの勉強はしていますか?
あまり手が回っていない方も多いと思います。
ただ、それは非常にもったいないです。過去問題集のどこかのページに、リスニングのスクリプト(音声を文章化したもの)が付いていますよね?一度、読んでみてください。大問2~4と比べてだと、とても簡単な文章に思えませんか?
リスニングは対策をしておけば高確率で安定して点数が取れる問題です。ぜひ、秋以降は「英語を音声で聞く」ことにも力を入れてみてください。文章を読むときには音読をすることも効果的です。
都立入試過去問以外だと英検3級用の問題集についているリスニングCD(旺文社さんなど)はオススメです。耳から英語を聞くことに慣れているだけで、リスニングが一気に得意になるはずです。
問題(Question)を聞くときは、WとHから始まる疑問詞を聞き洩らさないようにしましょう。過去5年間、すべての質問は下の8つの疑問詞が使われています。
- What(なにを)
- Who(だれが)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Why(なぜ)
- Which(どの)
- Whose(だれの)
- How(どのように)
3. 大問2 図表を用いた問題+英作文 24点(3問×4点+12点)
図表が入った文章やEメールの本文を読んで、設問に答える問題が3題×4点で12点出ています。
文章量は多少ありますが、設問と関係のない文章や図表が大半であり、設問のポイントとなるところを見つけることができれば1分で解ける問題です。よって、まずは問題から読んでください。
その中に固有名詞やキーワードになる単語があれば、まずはその語句を文章から探して下さい。必ず答えはその近辺にあります。
また、テーマに合った文章を3文書く(一文=4点の12点)の英作文が必ず出ています。
選択問題は得意でも自由英作文になると全く手を動かすことができない生徒もいますが、とてももったいないことだといつもプラスジムでは指導しています。
毎年出てくるテーマは「手紙を書く、意見を書く、紹介する」など日常にありふれた内容でイメージも沸きやすいですし、テーマと文章の流れに合っていれば、「I Like soccer.」の一文を書くだけで4点がもらえるからです。
毎日今日あった出来事を、3文で書くトレーニングをしてください。教科書や問題集を見れば、使える文章はたくさん出てきます。一つの文章の書き方を覚えてしまえば、単語を変えるだけで幅広いテーマに応用できます。必ず12点取りましょう!
補足事項として、平成29年度から英作文に変更点がありました。自由に3文を書く問題から以下のように条件を満たした文章を3文書くという指定が付きました。
- 前後の文につながるように書き、全体としてまとまりのある返事のEメールとすること。
- Cathyに伝えたい内容を一つ取り上げ、それを取り上げた理由などを含めること。
前後の文章に沿った内容(今回はEメールの本文)につなげて書き、さらに取り上げた理由を含めるといった条件が加わることで、自由度は減っていますが、形式に合っていれば内容は自由に書けます。
理由を伝えるbecauseなどの接続詞を使った例文をたくさん覚えておくと、単語を変えるだけで応用できますね。
<過去13年間の自由英作文テーマ一覧>
- 平成31年度
- :あなたがMakiだとしたら、Judyにどのような返事のEメールを送りますか。次の条件に合うように3文で書きなさい
- 平成30年度
- :あなたがMaryだとしたら、Cathyにどのような返事のEメールを送りますか。次の条件に合うように3文で書きなさい
- 平成29年度
- :あなたがRyoだとしたら、Jimにどのような返事のEメールを送りますか。次の条件に合うように3文で書きなさい
- 平成28年度
- :あなたが外国から日本を訪れた人に日本で楽しんでほしいことを、伝統文化に限らず一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
- 平成27年度
- :あなたが外国人に伝えたい日本の良いところを一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
- 平成26年度
- :あなたがこれから深く学んでみたいことについて一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
- 平成25年度
- :あなたが人の役に立つために取り組んでみたいことを一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
- 平成24年度
- :あなたが外国人の友人に手紙を書く時に友人に伝えたい感動した出来事を一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
- 平成23年度
- :あなたが困っているときに誰かに助けてもらったことについて一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
- 平成22年度
- :(設問になっている文章を読んだ後に)何をしたらよいかあなたがHarukaに助言したいことを一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
- 平成21年度
- :あなたが自由な時間の過ごし方についてスピーチをするときにすることを一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
- 平成20年度
- :あなたが将来取り組んでみたいことについて一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
- 平成19年度
- :あなたが写真をみせながらスピーチをするときに、紹介したいものを一つ取り上げ、理由を含めて3文で書きなさい
4. 大問3 対話文 28点(4点×7問)
大問3は複数名(平成31年度はクラスメート3人)の会話文を読んでの選択問題が7問です。文章自体は難しい文章ではないですが、登場人物が自由に会話していくため、話の流れ(誰が、何を話しているのか)が読みにくく、混乱が生じます。
また、会話文特有の表現(言葉の省略やフランクな言い回しなど)は慣れていないと意味が取りにくい部分もあります。
対策としては、問題文から読み、本文の該当箇所の前後から4択に合うものを探し、なければ範囲を広げるのが効率的です。
(1)~(5)は毎年下線部に関する問題なので文章中から探すのは容易です。
文章量自体は多いですが、内容はとても基本的な構成になっていて、下線部の前後、さらに言うとその段落内にしか答えはありません。
一問2分程度で5問解き、あとの5分で全体を見ながら残りの2題を解くイメージです。
時間配分をよくよく考えながら、過去問にチャレンジしてください。
5. 大問4 物語文 28点(4点×7問)
大問4は物語文・説明文です。比較的長い文書を読み、選択問題7問に答えます。
東京都立高校入試の大問4の特徴は、下線部の内容を問われる大問3と違い、文章全体把握の力が問われることです。
例えば「ア~エを文章の流れに沿って並べ替えなさい」や「文章に合うものを答えなさい」など全体の流れをつかんでおかないと答えられない問題が多いです。
題意をつかむという意味では、読み始める前に問題と選択肢を確認しておくことは当然ですが、文章の最後についている〔注〕のところをも必ず目を通しましょう。
大体の流れが把握できることが多いです。
数学の様な正答率10%以下の問題は英語にはでないことが大半です。(平成31年度の最低正答率はリスニングB記述の19.5%)。
ほかの大問と比べて大問正答率が低くなりがちな大問4ですが、それでも43.3%の正答率です。
合否を分けるのは、読むスピードでしょう。
普段から時間を決めて文章を読み、速読に慣れておくことをオススメします。